【簡易裁判所での訴訟代理業務】
訴訟代理業務とは、簡易裁判所で行われる、訴額140万円以下の民事訴訟の際に、法務大臣に認定された司法書士が訴訟代理人になることです。簡易裁判所は、貸したお金が返ってこない、家賃が未納などの身近なトラブルを、簡易手続きで迅速に解決するのが目的の裁判所です。司法書士は、簡易裁判所での訴額140万円以下の民事訴訟において、顧客に代わって、調停や和解の手続き、弁論をおこなったりできます。
【商業登記業務】
商業登記は、法人の設立から清算までの一定事項を法務局で登記して、法人の内容を公示することで、法人に関する取引の安全性を確立する制度です。司法書士は、商業登記手続きに関する書類作成や、申請代理業務を行います。商業登記を行わなければ、法人として認められないため、会社設立時は登記手続きが必須です。また、新役員就任時、会社の重要事項変更時などにも、変更登記手続きを行います。
【成年後見業務】
成年後見は、知的障害、認知症、精神障害などの理由で判断力が乏しい方の財産を保護し、支援者を選任する制度です。司法書士が成年後見人を担った場合は、後見人になる手続きだけでなく、財産の調査、成年後見登記、管理、官公庁・金融機関などの手続きなど、さまざま業務を担当します。
【相続業務】
司法書士の行う
相続業務は、相続による不動産の名義変更手続き、相続関係説明図の作成、戸籍の収集、遺産分割協議書の作成などです。遺言書を作成したい方には、遺言作成の相談に対応、その他に自筆の遺言書が見つかったときの手続きなどを行います。また、身内が亡くなった際は個人が所有する遺産に関して、誰がどの財産を相続するのかを決定し、名義変更しなければいけません。このとき活躍するのが司法書士です。
【債務整理】
司法書士は、1社ごとの過払い金の元金が、140万円以下で簡易裁判所で訴訟が行われる場合のみ
債務整理の業務を行えます。弁護士は、債権額や業務範囲に制限なく対応できますが、司法書士が対応できるのは元金140万円以下の場合に限定されます。司法書士が対応可能な業務は、任意整理の代理人と自己破産、個人再生の書類作成代理人です。
【供託業務】
司法書士が対応する
供託業務は、有価証券、金銭などを国家機関の供託所である法務局に預けて、支払うべき相手に分配する手続きです。司法書士は供託手続きなどの代行だけでなく、取り戻しの手続き、供託物の還付などにも対応します。供託業務には、目的に応じて弁済供託や担保供託、保管供託、執行供託、没収供託などがあります。
【企業法務】
企業法務は、企業に関する法律事務です。企業活動するなかでさまざまな法律上の問題が起きた際に、司法書士が身近な法務アドバイザーとなって対応します。社内に法務部を設置していない中小企業にとって、司法書士は重要な存在です。司法書士は、債権者、株主への対応や法的文書の整備、事業継承、ストックオプションの発行などのさまざまな問題に関してもアドバイスができます。
【不動産登記業務】
不動産登記は、土地や建物の物理的状況、権利関係などに変化が生じたとき、その旨を法務局が管理する登記簿に記載して、社会に公示することで、国民の権利と取引の安全を守る制度です。司法書士は、このうち権利関係に関する登記の書類作成や申請代理などを担います。また、不動産取引では、登記手続きを司法書士に依頼するのが一般的です。融資を行う不動産仲介業者、金融機関なども、法律上適切な取引を行うために、登記手続きは司法書士へ依頼します。
【裁判所提出書類作成業務】
司法書士は裁判所に提出する各種書類の作成及び相談を業務としています。
簡易裁判所や地方裁判所に提出する書類には下記のようなものがあります。
(1)訴状・答弁書・準備書面等の訴訟関係書類 貸金や家賃などの取立て、交通事故などの損害賠償を求める時や、逆に相手から訴えられた時に訴状・答弁書などを作成します。
(2)個人再生手続申立書・破産手続申立書など 借金で債務整理をして破産手続きなどを選択する場合に作成します。
(3)支払督促申立書 簡易で迅速かつ低廉な費用によりお金を返してもらいたい時に利用されます。
(4)少額訴訟手続書類 簡易裁判所で訴訟の目的の価格が60万円以下の請求をしたい時に、簡便な手続きとして利用されます。
また
家庭裁判所に提出する書類には、下記のようなものがあります。
(1)後見等開始申立書の作成 高齢で判断能力が不十分になった人がいるなど後見制度を利用する場合に作成します。
(2)遺言検認申立書の作成 遺言書を発見した場合には家庭裁判所で「検認」の手続きをしてもらう必要があり、検認申立書を作成します。
(3)相続放棄申述書 相続を放棄したい場合は、相続の開始があったことを知ってから3か月以内に被相続人の住んでいた地域を管轄する家庭裁判所に提出する必要があります。
(4)失踪宣告の申立書 生死不明の方がいる場合に失踪宣告の申立をすれば法律上は死亡したものとみなされ、遺産分割の手続きができるようになります。
(5)不在者財産管理人選任の申立書 例えば相続人の中に行方不明者がいる場合に、不在者財産管理人選任の申立書を提出して不在者財産管理人を選任します。
(出典:
https://studying.jp/その他)